プチ連載
□そういう人間だからこその恩返しらしい
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何故自分が居なくなる事が恩返しになるのか、それは自分が暁だから。
なんて事も知らずに再検討するあいつ。いや、知っていようと構いやしないのかもしれない。
「いくら考えても用心棒以外に思いつかないのですが…どうしましょう」
「知るかよ。大体よォ、お前は暁が物騒だから用心棒しろって言ったんだろ」
「確かに始めはそうでしたが考えれば私はか弱い人間です。暁なんて関係なしに用心棒は必要かもしれません!」
正しくその通り。
暁なんてものはこいつに構いやしなかった。始めからそう言っていれば良かったものを。
「じゃあよ、もしオレがその暁だって言ったらどうすんだァ?」
それはライナだけに限らずこいつもまた、始めからそう言っていれば良かった話だ。
「あなたが?」
「オイ、何笑ってんだよお前!」
「だって…あなたが!」
けれど始めから、こいつと出会ってしまったあの時から、恩返しに励む人間に悪い人間は居ないなんて考えを持つこいつと出会ってしまった日からもう、それは無理な話だったのかもしれない。