プチ連載

□無いはずの居場所
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「ありがとうは無いんですか!ありがとうは!人をこんなに探し回らせといて!」


「あー、そりゃすまねーなァ」

「何で笑いながら言ってるんですかあなたは!」


笑いながら言ってりゃ腹が立つだけだ。
その気分は腹が立つほどいつかの自分が、よく知っていた。


「んなに怒んなって。これでも感謝してんだぜ?」

「ゲハゲハ笑いながらありがとうを言う人間から感謝なんて伝わりません!」


だからこそ分かった。
この「ありがとう」が、価値あるものなんだって。



「それであなたは何でここに?また穴に落ちる気ですか。今度こそ死にますよ!」

「不死身のオレにそれを言うかァ?」

「体バラバラで今にも餓死しそうだったあなたが何言ってんですか!」



それともう一つ。


「そんなに死にたいならあなたなんか置いて帰りますからね!腹減ったって言ってもご飯なんか作りませんよ!」


「は?オ、オイ…お前」

「何ですか!帰りたくなりましたか!」

「オ、オイ…待てって。帰るってどこにだよ」

「どこにって決まってるじゃないですか」




自分にも帰る場所は、あったんだって事が分かった気がした。


「うちに帰りましょうよ」




続くかも
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