プチ連載
□恩知らずな恩返し
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恩返しなんて性に合わないって事を忘れていた。
考えればそれは、重要な事じゃない。もっと大切な何かを忘れている事をふと思い出した。
「暁、です」
「……暁、だァ?」
「私も今まで知らなかったんですが近辺に目撃情報が流れたらしいんです!暁の服きた男がうろついてた、と」
「………そんで用心棒かよ」
「そうですそうです!だって聞いた話じゃ犯罪者じゃないですか暁!私みたいなか弱い者は怖いんですよ」
恐怖の対象者がまさか自分だって事を、自分でも忘れていた
ただでさえ尾獣狩りで暁は騒がれているというのに。
そんな事も忘れてこいつなんかを探す為だけに、この格好で走り回る自分が居たのかと思うと笑えない話だ。
「そーいう訳なら仕方ねーな」
それでも笑えたのは表姿の自分だけだ。
あいつが居たから笑えたのかもしれないなんて、一人きりになればこそ思える
でもやっぱり笑えない。
「……そーいう訳なら仕方ねーよなァ」
自分が居なくなる事が一番の恩返しになるなんて、笑えるわけが無い。
続くかも