プチ連載
□生かしてくれた恩じゃなく、生きた恩
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「お前何で助けたんだよ」
そう文句を言ってやる気力というものでさえ、朦朧とする意識と一緒に無くなりかけていた
「女の肩借りるなんてダセェー死んだ方がマシだ」
けれど、融通がきかなくなった意地というものが無くしたものを取り戻す。
そして取り戻した体。
不器用ながらもこいつは、バラバラになった体を縫ってくれていた。
女の手を借りるなんて、死んだ方がマシだ。
「オイ聞いてんのか、何か喋れよ」
全てを取り戻した俺は相変わらずの威勢を放つ
女なら怖がっても良いくらいの威勢だ。というのは確かで、催促されたそいつは少しばかり震えた声で口を開く。
「腹、減ったって……言ってましたよね」
こいつ、人の話聞いてたのか。なんて文句が言ってやりたい返事だった。
それが助けた理由だって、笑える話があるわけない
そう思う傍らで、それが理由なのかと笑う自分も居た。
「……お前、馬鹿だろ」
「え?初めて言われました」
呆れてものが言えないとは、これの事だ。
角都にそんな事を言われた事があったな、なんてふと思い出した。
というのも呆れるより、呆れられる側な自分。だがしかし、この時飛段は初めて呆れる側の気持ちを理解したのであった
まさにその言葉通り
ものが言えなくなった飛段の、威勢を放っていたはずの口はピタリと静止したのだった。