プチ連載
□勝手な恩返し
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その何かとはつまり
恩返しの期間、なんかに期待をしてしまう。
あくまで期待なだけであり、求めていたわけではない。
というのも、不死身な事以外にはこれといって特徴も感じられないこの人。
失礼ながらも大した恩返しは出来ないだろうという事が、明らかだった。
「そんでライナちゃんは一人で暮らしてんのかァ?」
「え、あ、はい」
「そりゃ大変だなー。あ、そういやここどこの里だ?」
「…………………。」
求めてはいない。期待をしていただけ。
だからこそ期待を見事に裏切られると少しだけ、悲しくもあった。
「……帰るんですか?」
そのつもりで聞いたのだろう。
この流れは確実に、恩も返さずあっさりと帰ってしまう流れに進んでいる。
「あーまぁ、そうしないと色々ヤバイけど」
角都やリーダーが、とボソボソ呟くあの人。
恐らく身内だろうか。
一月以上も帰ってこないとなればその人たちが心配するのも無理は無いだろう。あくまで身内かどうかは知らないけれども。
「けど先にやる事あんだよな」
「え?」
無理は無い、そう割り切ったと同時にこの人は言った。
「ライナに借り返さねーと」