プチ連載

□勝手な恩返し
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「ひ、一月、ですか……!」

「いや正確には分かんねーよ。何しろあの穴ん中にずっと居たからよォ」

時間の感覚が無いという事依然に、もっと大切な感覚が無くなりそうだ。

生きてる感覚とか、生きてる感覚とか生きてる感覚とか。


「……よく生きてましたね」

「だから言ったろ。不死身なんだって、元はな!」

それでも餓死寸前だったからか「元は」と付け足すこの人。

栄養さえ与えれば永久に不死身らしい。 残酷な体だ。


「あの、どうしてあなた」


そんな体が何であんな目に合っていたのか少しだけ、興味にとらわれる。


「………の名前、聞くの忘れていました」


けれど聞いてはいけない気がして、話をそらした。


「あーそういやそうだったな」

その人としても過去は過去の事で割り切りたいのか、他には一切触れずに短く名前だけを口にした。


「で、お前は?」

「あ…………ええと、ライナです」

「そうか、ライナか!」


うんうんと頷くこの人。
あくまで馴染みはなく、この人との関係性は日も短いものだ


「改めて礼を言うぜ、ライナ」

けれど
相手は大きな借りがあり、ライナには大きな恩がある。

どうやら、何かが長くなりそうな関係性だ。


 
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