短編

□薄れる意識の中で
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頭痛い。


朝起きると、何ともいえない不快感が自分を襲った。
そういえば昨日の夜から頭痛かったなーって思い出して、でも寝れば治るなんて薬も飲まないで寝ちゃったんだっけ。あー、見事に治ってない。

「学校休もうかな…」

ここしばらく早起きが続いてて、それでも寝るのはいつも通り深夜2時とか3時とかだったから自業自得ではあるけれど。
熱を測ってみるも逆に平熱より低いくらい。まあ動けないほど痛いわけじゃないしからな、と家を出た。あ、薬飲むの忘れた。





「え、休み!?」

現在体育ではバスケが行われていて。
私のチームは特にバスケが上手って子がいるわけじゃないからリーダーの子がいないと結構ピンチなのだけれど、あろうことか今日は休みみたいだ。毎回チームで一人休んで途中で交代するルールだけど、今回は誰も休みなしってこと。

「あー…」

微妙に頭痛いけど、休んだら迷惑かかるしなあ。
しゃーない、やるか。





「え、今日テスト!?」

考えれば高校生にもなってリコーダーなんて、とも思うけれど。
リコーダーのテストといえど成績にはばっちり影響するわけで、それにこのテストに向けて少なからず練習はしてきたし休みたくはない。

しゃーない、やるか。







「先生頭い、」
「いぇそんせんせーっ」
「あーうん、うんうんじょんうん」

頭痛の度合いはそこまでじゃないにしろ、ずっと我慢するのにも限界はある。
なんだか顔が熱い気がしてとりあえず熱だけ測りに保健室を訪ねてみたけど、先生に何人か女子生徒が群がっていて私には気付いていないようだった。適当にあしらってるけどね。

しょうがない、と小さくため息をついて体温計を脇に挟み、そのまま机に突っ伏す。
ぴぴぴ、と音が鳴って体温を確かめると36度。なんだ熱無いじゃん。あー次なんだっけ、世界史でその次は数Uだったっけ?1時間しか休めないしどうせなら世界史出て数U休もう。ふはは。

「お、なんだ水羽具合悪いのか?」
「うん…頭痛い」
「休むか?」
「いい。また来る」
「無理すんなよ。…ちょ、触んな」

ようやく私に気付いたらしいイェソン先生が声をかけてきたけど、すぐに周りの女の子がちょっかいを出す。はあ。


”水羽”

名前で呼んでるのは私以外に聞いた事無かったりして。期待しちゃうじゃん、先生と生徒なのに。
…世界史頑張れそう。






「授業中寝てる奴成績知らないからな」


なんていわれたけど、頭痛いんだからしょうがないじゃん。
とまあそんな事を思ったって何も知らないカンイン先生には届かないわけで。

なんかちょっと息苦しくて呼吸が荒くなってきた。あーこれは、本格的にやばい、かも。






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