黄昏SCRAP
□2話 噂のH氏
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「ごめ、遅れたー」
「遅い!今リズム取り」
慌てて部活へ行くと、皆は既に柔軟とアップを終わらせていた。
「あたし柔軟とかしてる間に適当に曲流すからリズム取りしてて。よろしく花」
「おっけー」
ちなみにこの部活というのはダンス部のことで、現在は2年生5人と1年生9人で活動中。
3年生はダンス部員いないんだよね。
私は幼稚園生の頃からダンスをやっていたから、経験者もあまりいなかったし必然と部長に選ばれた感じ。
でも幼稚園生からやってたって言っても中学入るまで遊び感覚だったし、練習時間も短かった上に上達しようとも思わなかった。
だから今、部活がすごく楽しくて。
こう毎日踊っていると、上達していく感じが本当に分かるから。
「ちょっと集合ー」
「はい!」
軽く柔軟を終えて、部員を集合させる。
「今日は11月の文化祭の事を軽く説明しときます」
文化祭まであと二ヵ月半程。
自分達で選曲して、色々参考にしながら振りを作って、あとはひたすら練習するだけ。
「全部で4、5曲できればいいなーと思うんだけど」
私が考えるのは最初に全員で踊って、1年、2年、そして選抜メンバーでそれぞれ1曲ずつ踊る。あと何か1曲踊って、最後に皆で簡単なエンディングが出来れば良いかなーと。
「どう?」
「いいんじゃない?」
ね、と花が周りに微笑むと、周りの子も笑顔で頷く。
「最後の曲はまあ後にして。とりあえず代表者決めようか?」
「あ、もう決めてある」
「さすが」
代表者は楽曲や振付など総監督を担当する事になってる。もちろん周りにも協力はしてもらうけど。
一応決めてある分だと全員で踊る曲は私、2年の曲は花、1年の曲は葵ちゃんと久美ちゃん。1年生は初めてで分からないだろうから2人にしてある。
「まあ詳細はまた今度説明するから、今日はいつも通りのメニューと構想くらい相談しといて」
それだけ伝えると、飲み物を買ってくると席を立つ。
部員は早速相談をし始めた様子だ。
(最後はどうしようかな…ゲストでも呼ぶ?)
つったってゲストってね。いないか。
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