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□あの時のハンカチ
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「名無しさん!どうだった!?」



『あ…名無しさん。うん…だめだった』



「えーっ!…そっかあ…」



私のことなのに自分のことのように
明らかに肩を落としてみせる名無しさん。


告白の経路とか、
なんて言われたとか、

1〜10まで全て話す私。



まあ、どうせ聞いてくるだろうし。




「え、じゃあ可能性はあるんじゃん!
がんばろーよっ!!」



ガラッ…



そこで、お相手の不二くんが
教室へはいってきた。




『…いい。もう、いい。最低』



小声で言ったつもりが、
不二くんにも聞こえていたのか、
こちらを見ていた。




「ちょ、不二くん見てるよ…」


名無しさんが隣から小さく耳打ち。





彼が見ているとか、どうでも良かった。


だって、私はもう何の感情もない。




「名無しさんさん。」




まさか目の前まで来るとは思わず、
動揺がバレないように冷静を装った。




『何?』


「…君に興味が沸いてきてね、
君のことをよく知りたいと思うんだ」



文句でも言われる物だと思ったから
思わず目を見開く。




『な、なに言ってんの?』



気づけば気を利かせたのか、
隣にいた名無しさんがいない。




「ねぇ、もしよかったら、
今日の放課後、どこか寄ろうよ。」



『…』



何も言わずに黙っていると、
決定だね。とどこかへ行ってしまった。
 
 
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