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□不器用な私達
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キーンコーン…


ガラッ



チャイムと同時に教室に入る私。



国光は1組で、私は6組。



国光は間に合ったかな〜…
なんて考えながら席につく。




「名無しさんおっはよ!」
「名無しさんさん、おはよう」


前の席の名無しさんと
隣の席の不二くんに挨拶され、

それに答えながら用意をする。




1限目はー…世界史。

国光の得意な授業だな…


思わず、クスッと笑ってしまう。



「?どうしたの、名無しさんさん」

不二くんがニコニコしながら
私に問いかけてきた。


『え?あ、あ、なんでもないっ!』

私は焦ってごまかす。


が、きっと不二くんには
バレているんだろうな…と思いながら
窓際の席の私は窓から校庭を見る。





…すると、1組は体育なのだろうか、
国光がサッカーをしている。



女子はその姿を見て黄色い声援を。


それは付き合いたての頃こそ嫌だったが
国光が「お前以外の声援は耳に入らない」
と言ってくれて、安心しているので
もう慣れてきていた。




…そんなことを考えながら、
黒板を見たり、国光を見たり、と
私の目は忙しく動いてた。




そして、思わぬ光景が
目に入ってしまった。





男子が蹴ったボールが、
黄色い声援を送っていたうちの
1人の女子生徒の頭に当たって、
女子生徒が倒れてしまった。



運悪く、サッカー部が
思い切りパスしたボールを
パスを受けた男子は取れなかったようで

サッカー部の強烈なボールを
そのまま頭部に当たってしまったのだ。




うわぁ、痛そう…

思わず私が頭を抱えた。





すると、近くにいたからか、
国光がその女子生徒を抱えて
どこかへ連れていった。


状況的に、保健室だろう。




周りの女子生徒はみんな
キャーキャー騒いでいて

私も一気に不安などが浮かび、
心臓の鼓動が早くなった。





"国光は生徒会長だから…
いや、何より優しいから…"



そう思い直そうとするも、



"保健室で何かあったらどうしよう"
"あの子がわざと動けないフリをしていたら"

こんな考えが私を支配する。
 
 
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