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□幸せな帰り道
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私には日課がある。



まず、放課後になったら
男テニを見に行く。



そして、男テニの練習がおわる、
5分前にさっさと帰る。





5分前に帰る理由は…
帰り道、彼と会ってしまったら…。





そう、その彼とは、不二周助。


私が想いを寄せている人。




優しくて…大人な彼。



…きっと、私の顔も
知りはしないだろうけど。





だって、彼とは何の関係もないから。




クラスが一緒になったことがないし
選択教科も一緒になったことがない




悲しいことに、接点は
本当に何もないのです。












「あれ、名無しさん。今日は
男テニ練習ないんじゃないの?」



親友の名無しさん。




『うん…あの、私。
不二くんに話しかけてみようかな…て』



すると、名無しさんは目を見開いた。


それもそのはず。

私は極度の人見知りで
女の子にさえ初対面では
話すことができないのに、
男の子だなんて…という感じだろう。


ましてや大好きな彼に。






「が、頑張って!頑張ってね!!」


名無しさんは少女漫画のように
私の手を握りしめてきた。





『まあ…告白するわけではないし…』



「ていうか、もう、
不二くん帰っちゃったんじゃない!?」



…確かに。
今はもう部活なしの生徒の完下ギリギリ。




「私なんかいいから早くいきな!じゃ!」

そして、名無しさんは颯爽と帰った。




私も早く6組へ行かないと、
と席を立ち上がり、ドアを向くと…




「あれ?…手塚は…いない?」




『あ…っあ…』



ふ、不二くん!?

どうやら、手塚くんに
用があるみたいだけど…



「帰っちゃったのかな、
…ん?キミ、毎日来てるよね?」



驚いて、顔を上げると
彼は微笑んでいる。




『あ…っあの…はい…』



「クスッ…キミ、おかしな子だなあ
同じ学年でしょ、敬語はいらないよ?」


またクスクス笑う不二くん。





信じられない…私、いま、
あの不二くんと喋ってる…!





『あ、うん…っえと…』


緊張のあまり、どもる私。

やっぱり人見知りが…。




「キミ、確か僕と同じ通学路だよね?
良かったら一緒に帰らない?」



…!!!え、お、お誘い!


『あ、うん!うん!!!』



「クスッ…元気だね、名前は?」


『名無しさん名無しさん!』



あぁ、もう心臓が壊れてしまいそう…




「名無しさんちゃん、ね。
僕は不二周助だよ。」



『し、知ってる…』


「クスッ…そう?嬉しいな」




ギュッ…




!?




なぜ、私は彼に抱きしめられ…!?




「実はね、キミが練習見にきてて
僕はずっとキミが気になっていたんだ

だけどやっぱり中々話せなくて…
部活終わってから話しかけようも、
いつもキミは5分前に帰っちゃうし。

やっと、やっと話せた。
僕は幸せすぎて、どうにか…」





ふ、不二くんに告白…!?




『わ、わわ私も、その…っ』



「ゆっくりでいいよ…クスッ」



彼はいつもの調子で微笑み、
私の頭を撫でてくれました。





『…好き』



「よく言えたね、…クスッ」





―END―


次のページからは
この作品の不二目線。
 
 
最近執筆遅くてごめんなさい(;_;)
この場をかりて謝らせて頂きます…

更新が遅くなりますが、
執筆をやめることはないので

今後も宜しくお願いします。


人気キャラ投票も、
宜しくお願いします。


―紫乃―
 
 
 

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