夢見処-フィギュア-
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「凜さん、部屋何階?」
『15階』
「えっ?まじ??俺も!案外となりだったりして..」
そんなわけナイナイと思いながらエレベーターを降り、部屋へ向かう。
嘘だ。夢だ。そうそう、夢だってね。
『痛ーーーーっ』
「ww隣、だったね」
あたしの初めてのアイスショーの旅は、すごいことになるようです。
「じゃ、またあとで!」
『あ、うん』
案外あっさり羽生さんは自分の部屋に入っていった。あっさり...?いや、あたしは何か大事なことを忘れている気がする。思い出せ、たった一瞬前のことぐらい、いくらあたしでも思い出せるだろう。思い出せあたし....
『“また後で”...マタアトデ...?』
いやぁ、まさかね。言葉のアヤってやつだよ。そうそう、そうに違いない。
いや、別に羽生さんが嫌いなわけじゃないよ。
てかゆづって呼んでたしいつも。そりゃ本人の前で馴れ馴れしくゆづなんて呼べないから。
それくらい大好きなんだよ。うん。ただただ、信じられないだけで。突然予期しないことが起こりすぎて、頭がついて行ってなくて、さっきまで一緒に歩いてた人がゆづだってことを、あたしの頭は、ほら、馬鹿だからまだわかってなくて、ね。
......お風呂入ろう。
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