小説
□偽戦国BASARA?武将合同稽古っ
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「ぅぉおおおおやかたさむぁああああああぁあああああっっ!」
「ゆうううううきむるぁあああああああああああああああっ!!」
武田の城内に二人の男の大声が響き渡る。
一人は紅蓮の鎧に身を包んだ『天覇絶槍』の異名を持つおなじみ真田幸村。
もう一人はこの武田軍のトップである『お屋形様』こと武田信玄である。
「どうかしたのかぁぁっ!ゆきむらぁっ!」
「はっ!武将合同稽古と言うものにっっ!
参加したいのですがっっ!」
幸村の言葉を聞いて、信玄は思案顔になる。
「(あの書状のことか・・・。喋ったのは佐助だな・・・。)」
「・・・・いや、そんなに目を輝かせて頼んでもアレですよ旦那・・・・。」
遅れてきた佐助がいつの間にか幸村の横にすっと現れ、フォローする。
「さすけっ!何でっ!?」
その間にも信玄は考えをまとめたらしく、顔を上げる。
「ふむ・・・・佐助は暇か?」
「は・・・一応旦那についてゆけ、と?」
佐助が真顔になり信玄に確認を取ると、『お屋形様』はゆっくりと頷く。
「よぉしっ!許可しようっ!武田の名に恥じぬ強者となりて戻って来いゆきむらぁああっっ!!」
「はぃっ!おやかたさまぁああああああああっ!!!」
またも城内にこだまする大声を残し幸村が去っていった室内には、信玄と佐助が座っている。
「良いんですか?・・・旦那のように正直なヤツばかりでもないでしょう?」
佐助や信玄が不安がっているのは、強力な兵を集め一気に殺すことを企む者がいる場合。
幸村を毒殺でもされれば武田としては大損害であるし、佐助も主を失う。
「その時になれば、佐助が幸村を助けてやってくれ・・・・。場合によっては他すべて殺しても構わん。」
それなのに、信玄は幸村を行かせた。自分にとって重要な兵なのに。
「幸村にはいつも世話になっている。幸村が求めるのならば、わしからの礼として届けてやろうではないかぁっ!」
それが、武田信玄。
佐助も平伏し、その場を去った。
「良かったですね、旦那。」
「流石お屋形様!嬉しいな〜♪」
「そう言えばこの佐助も一緒に行きますからね?」
「おっ!佐助も一緒かっ!だんごパラダイス〜っ!」
「いや、違っ・・・それだけじゃなくっ・・・」「じゃっ、いっくぞーっ」
「食べ過ぎないでくださいよ、旦那ー?太りますからっ!」
「わかったーっ・・・もぐもぐ」
ゆっくりゆっくり、進んでゆく。
「う・・・っ・・・・つまった・・・っ・・・!!」
「だっ、旦那!?ほらっお茶お茶っと。」
目的地は遠く。二人なら近くもあり。
「うーっ・・・ごくんっ。・・・ありがと佐助ぇっ〜。」
「いや、別にいいけど・・・いきますよー?」
佐助の手には届いた文書。幸村はまだその文書を見ていなかったが・・・あえて言わず。
二人は並んで、歩く。歩く。