++ 夢現 ++

□+ I wish this moment would never out +
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『旅行へ行かないか?』


そんな言葉を零一さんから聞いたのは、今から1週間前。






日曜日。
生憎の雨で、零一さんの部屋で過ごしていた。
読書をしたり、ピアノを弾いてもらったり。
特別な事はしなくてもいい。
ただ、2人で同じ時間を共有しているだけで、私の心は満たされる。
本当は。
共有の時間がもっと増えたら、と思っているけども。


夕食を終え、後片付けをしている時。
隣で食器を拭いていた零一さんが"そういえば・・・"と話しかけてきた。


「来週の週末だが・・・何か予定はあるか?」
「来週ですか?いいえ。特に何もないですけど・・・?」
「そうか・・・」
「?来週、何かあるんですか?」
「いや・・・何かあるという訳ではないが・・・」
「?」
「その・・・旅行へ行かないか?」
「・・・えぇ!?りょ、旅行ですか!?」
「いや・・・やはりまだ・・・」
「いいえ!行きたい。行きたいです!」
「そ、そうか・・・」
「嬉しいです。初めての2人きりの旅行ですね。凄く楽しみです!」


その後
『まだ未成年なのだから、ご両親の承諾をもらわなくてはならない』
と言う零一さんは、両親に話を通しに来た。
両親は、2つ返事で承諾。
なんでこんなにアッサリなのかと言うと・・・
学園を卒業して暫く経った頃。
零一さんが両親に挨拶に来て
『結婚を前提にしたお付き合いをさせて頂きたいと思っています』
と言ってくれたから。
それですんなりと受け入れるウチの両親も変わっていると思うけど。
でも。
実際に、零一さんは私を大切にしてくれてるから。
私の事を第一に考えてくれるから。
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