十六夜桜 

□其の六
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だれも起きない寒い朝の中・・。

「みんなまだ寝てるところ出かけないとね」

っと準備完了状態の愛

コンコン・・・

「!?・・なっ何・・?」

ガラッ

「すみません愛様・・これを持っていってください」

女中さん一人ふすまの所で正座して何かをくれた

「これは・・・?」

女中さんに不思議そうに聞く

「中はおにぎりで御座います、旅の中お腹がお減りましたらっと思いまして。」

「わぁ!有難う!女中さんが作るおにぎり大好き!」

静かに喜ぶ自分・・

「それは嬉しいです(ニコッ」

「じゃあ、出かけるね」

「門まで送らせて下さい」

っと寒そうな格好で言った

「その恰好じゃ寒いよ!これ着て!」

自分愛用の羽織を女中さんに貸す

「そんなっ、愛様に悪いです・・」

「いいの!いいの!うちが貸したんだから!帰ってきたら返してもらっていいかな?」

「そんな!少し長い期間まで貸してもらえるなんて・・っ」

女中さんはとても遠慮している・・;

「これ羽織んないと駄目!うちからの命令!」

自分の羽織をギュと掴んで言う

「!!・・分かりました」

少し笑顔の女中さん、そうそうそうやって遠慮しなくていいんだよ

そう言って門まで送ってもらった

「じゃあ、行ってきます!」

「行ってらっしゃいませ愛様」

ぺこりとおじぎをして言う

「頭下げないで、行く気分になれないよっ」

「すっすみませんっ!」

女中さんが慌てて言う

「うちの中では身分差なんて関係ないから普通に話していいんだよ?」

・・もしかしてこの人女中さん、始めたばかりなのかな?

「じゃあ!今度こそ行ってきます!」

「行ってらっしゃいませ」

そういうことで甲斐の国まで行くことになった

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「船に乗せてくれるか分からないけど、着ちゃった・・アハハ」

大きな船があったんですよ、ってかうちそこまでも海側来たっけ(笑

「あのーすみません、船に乗せてください」

「あ”?なんだ?小娘」

うわっほぉー!人相悪すぎる人ですー!

「船に乗せてください」

「ったく、アニキに頼んでみるか、来い小娘」

ったくなんなんだよ・・小娘小娘って・・。

「アニキー!この小娘が船に乗せてほしいらしいっす!」

「あぁん?女?そいつを見せてみろ」

姿が見えないけど声が聞こえた・・!

男って感じの声だね・・・!
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