二
□家族に愛されて
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唇を噛みしめ途切れ途切れに紡がれる言葉
静まり返っていたモビーからは、今やそこかしこからすすり泣く声が聞こえる
フォッサは号泣だ。最近涙もろくなってきてるから
死体はどうだったかなんてとんでもないこと言いだした時はどうなるかと思ったが、キリマルが笑ってるからまあ・・・それがアイツ等なんだろう
泣くまいと必死に耐えていたキリマルに、次第に笑みが浮かんだからよしとする
「マルコ」
「なんだよい」
「俺たち、あいつらに何してやれるのかな?」
視線の先。小さな少年と小柄な少女は、見つめ合って、笑い合う
「あいつらの夢は、立派な忍者になることだよい」
「なら、力になってやりゃいいんじゃねェか?あいつらが忍者になれるようによい」
ちょうど、俺たちには力も技術もそれなりにあるんだから。そう笑うマルコに、そだな!力一杯頷く
組み手、教えてやろっかな!チャンバラとかもいいな!!にしし!
「あー、明日から楽しみだなー!!」
「私は幸せ者ね。愛する家族に殺され、皆の手で送り出された」
本当はね、怖かったの。三人が学園に辿り着けていなかったとしたら。もし3人が大怪我をしていたら。気付かなかった残党が学園を襲っていたら・・・
「彼方で私は死んでしまったけど、此方でちゃんと生きてるわ」
「先輩・・・」
「あら、きり丸は私の弟でしょう?」
首を傾げて覗き込めば、ドンッ、腹に軽い衝撃
やっぱり、軽くなっている
『ねーちゃんっ!!』
‐ドンッ‐
『ふふ、いきなり飛び付いたら驚いちゃうわきり丸』
『えー、全然微動だにしてなかったのに?』
『あら、バレちゃった?』
『もー!!』
「っ、姉ちゃん・・・、姉ちゃん!」
「先に死んじゃって、ゴメンなさい」
「う゛、うあぁぁああぁ!!!」
‐海賊船に涙雨‐
こんなに思い合っているのに
生きる世界は遠退くばかり
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