二
□穴の向こうは異世界でした
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「でも何故ここに現われたのかしら?」
顔を洗う為水場へ移動中、庄左ヱ門に訊ねると実は・・・と名前を見上げた(エースさんや他のクルーはマルコさんによって追い払われた。お前ら邪魔だエースは報告書どうしたよいって)
「僕たちは校庭にいて、ランニング中だったんです。そしたら綾部先輩がストレス発散に作った巨大蛸壺に乱太郎が落ちて・・・」
「「「助けようとしたら皆で落ちちゃいましたー」」」
えへへ〜、何故か嬉しそうに照れる忍たまたちにふふ、と小さく笑う
「綾部先輩の蛸壺は安全設計だから怪我はなかったんですけど当然出られなくて、山田先生を呼んだらいきなり地面が抜けて、サッチさんの上に落ちたんです」
・・・成る程、まあ何よりこの子達に怪我が無くて良かった(サッチさんのリーゼントが崩れてるのはそのせいだったのね)
「なあタコツボって?漁に使う奴じゃ、ねえよなァ」
「蛸壺は忍者が作る落とし穴の事です」
首を傾げるサッチさんに、乱太郎が遥か頭上を見上げて答える。私でも大分目線を上げなければない白ひげ海賊団の方々。まだ一年生のこの子たちはそれこそ真上を見上げなければならない(人の目を見て話す、というのをきっちり守る子たちだから)
「綾部先輩は蛸壺を掘る名人ですよ」
「天才トラパーなんです」
「いつも無表情です」
「委員会の先輩ですよ」
「穴堀小僧なんです」
「女装も上手なんです」
「ナメクジさんは好きですかぁ?」
「いやいっぺんに話すな分かんねェよ!」
同時に話し始めた忍たまに、話すなら順番になと頭を撫でて諭す
「ナメクジさんは好きですかあ〜?」
「は、ナメクジ?」
ほらボクのナメクジさん!と蓋を開けて壺の中身を見せる喜三太。中には(喜三太曰く)とても愛らしい数十匹のナメクジがうようよ・・・
壺を覗き込んだきり固まってしまったサッチさんを残し一行は水場へ到着
水道の使い方を教え、フェイスタオルを渡すときり丸の目が小銭になった(まあ予想はしていたけれど)
「スッゲー!この布フワフワだ!」
「此方の世界では麻の手拭いの方が珍しいのよ。きり丸、懐にしまわないでちゃんと兵太夫達に渡しなさい」
ポタポタと水滴が滴る面々を指すと渋々タオルを手放した
「ところで名前先輩、ここは何処ですか?」
「そうね・・・今から説明するわ。顔は拭けたわね、いらっしゃい」
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