二
□穴の向こうは異世界でした
1ページ/3ページ
見事に真っ赤なお目目の11人
「ふふ、皆酷い顔。擦ってはダメよ、洗って冷やさなきゃ」
『はーい・・・』
涙も乾き落ち着いた様子の忍たま達を見て、そろそろ良いかと近づくマルコとサッチ、エース
「名前の後輩だったのな!俺はエース以後ヨロシク」
『よろしくお願いしまーす!!』
いつもの直角挨拶でニカッと笑うエースと、元気なご挨拶大合唱の忍たま達に一気に場が明るくなる。顔こそグシャグシャだが、表情は最初の無邪気なソレに戻っていた(こういう時はエースに感謝だよい。俺達ァ怖がらせる事しか出来ねェ)
様子を伺っていたクルーもソロソロと近寄ってきた(怖がらせないよう隠れながら、だが)
「皆、こちらマルコさんよ。そして・・・」
「わあ、おじさんタカ丸さんみたいな髪型!」
・・・タカマル?
イスケと呼ばれていた少年の瞳はキラキラ輝いてマルコを見上げている
「・・・ふふっ」
「ああー、本当だ!!」
「黄色いもんね」
本当だ本当だと、マルコの周りを取り囲む忍たまたち。キラキラした視線を頭に向けられたマルコは首を傾げ眉間に皺を寄せる。中々に凶悪な顔だと思うのだが(クルーだったら逃げ出すな)それに臆する事無く足によじ登るコイツ等はスッゲー
「マルコさんマルコさ〜ん」
クイクイとズボンを引っ張る少年。抱き締める壺ごとマルコが抱き上げてやるとへにゃりと笑った(マルコのそんな行動にクルーはビックリなんだけど!?)
「どうしたよい」
喜三太がマルコの腕の中でへにゃりと笑って放った言葉に、一瞬甲板が固まった
「マルコさんもバナナにそっくりだね〜」
・・・・・・
「「「ぶはあっ!!」」」
「くっ・・ごめんなさいマルコさん。喜三太に悪気は微塵もないん、です!」
謝りながらも耐えられないというふうに肩を震わせる名前。背後ではサッチとエースがゲラゲラ笑い転げ他のクルーもマルコに見つからないよう物影に隠れながら吹き出してる
「ぷぷっ、そっち、にも、バナナ頭がいんのか!」
「サッチ、そんなに蹴られてェかよい」
普段クルーに(主にサッチとエースに)自身の特徴的な髪型を揶揄されれば無言で拳骨の一つや二つ食らわせる所だが、相手が十の子供ではそうもいかない
その上一生懸命タカマルについて説明してるもんだから怒る気にもならない(下の奴らもいっぺんに話すもんだから全く聞き取れねェよい)
・・・おや?
「名前、大丈夫かよい」
何となく感じた違和感。うれしそうではあるんだが・・・泣き出しそうにも見えるのはどうしてだろう
「ふふ、どうしてですか?」
だが視線が合わさった時には、いつもの、あの張り付けたような笑顔に戻っていた
「いや・・・いいんだよい」
気のせいか?
.