二
□挨拶はしっかりと
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「お騒がせしました」
「いいや。面白れェもん見せて貰ったぜ」
グラグラと、大気を揺らす程の笑い声は本当に楽しそうで、少し安堵する
今、目の前のこの方に拒絶されては非常に困るから
白ひげ様は私の足元で大人しく座る忍たまに視線を向ける
「名前んトコの坊主か」
「はい、白ひげ様。忍術学園一年は組の忍たま十一名です」
突然サッチさんの上に落ちてきたのだと説明する
グララララ、愉快だと、先程から三日月型に縁取られた口元を確認
本題を、切り出した
「お願いがあります」
「なんだ、言ってみろ」
私が言いたい事など分かっているであろう
「居候の身で厚かましいのは重々承知。元の世界に帰れるまで、この子達を船に置いて頂きたい」
そして私も、この方がこれから言う事を分かっている
白ひげ様の目は面白そうに細められるが、ピリピリとした威圧が全身を貫く(それでも普段より数段緩やかなのは、小さな彼らを気遣ってだろう)
「ここは海賊船だ」
「はい」
求められるのは、覚悟
「危険だぞ」
「私が守ります」
命に代えても
誰だろうとこの子たちを傷付けさせない
白ひげ様がそうであるように、家族は、弟達は私の宝物
グビッ
「お前ェたちはどうしたいんだ?」
名前から忍たまへと移る視線
ただの子供なら怯え泣き叫びそうなモノだが、そうならないのは流石忍たま
「俺たちは名前先輩と一緒に居たいです!」
「船に乗せて下さい!」
「仕事なら何でも手伝います!」
「半額で!」
「「きりちゃんっ!!」」
必死に頼み込む中、一言多いきり丸に即座に頬を引っ張る乱太郎
「つひこのくひが」
「グララララ、なんだ、バイト代は必要か?」
「是非!」
目を銭に変えて揉み手するきり丸に忍たまたちは全員溜息
そろりと自分を見上げる視線に、白ひげは堪らず空気を揺らした
「グララララ、たいしたもんだ。名前お前の弟達は面白れェな!」
「私の自慢ですから」
ぐびぐび酒を煽る白ひげ様から鋭さが消えた
朱杯を置きグイッと屈みこむ。あの大きな手で緩やかに撫でられたきり丸はほんの少し頬を染めて、へへ、笑った
「気に入ったぜ。名前共々好きなだけ乗ればいい」
『ありがとうございます!』
「野郎共!客人だあぁ!!」
‐良かったねい‐
良かったな名前ちゃん!!
サッチ酒!飯!!
おうよ!
宴だあああぁっ!!!
お前ら仕事どうしたよい・・・
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