一
□能力?否忍術です
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「悪魔の実、ですか」
「俺はメラメラの実を食べた炎人間だ!」
「凄いですね、カナヅチになるのは痛いですが」
相変わらず手を動かしたまま、摩訶不思議な話に耳を傾ける。巨大な海王類、巨人族、空に浮く島、雷の降る島・・・
そして能力者と呼ばれる存在。悪魔の実という酷い味の実が与える様々な能力。白ひげ様を含め数名の能力者がこの船に乗船しているのだという
能力を得る事はいいが、海賊としてカナヅチになるのはいいのだろうか
「名前の知り合いの海賊の船長もカナヅチなんだろ?」
「あの人は能力者ではありませんけど」
大体船酔いする時点で海賊としてアウトだ。人望はあるが・・・
「はい、終わりです」
最後の布団カバーを畳み、使った鋏や針をしまう
「ホントに終わっちまった」
部屋からはクシャクシャに丸められた服が消え、畳まれてた山盛りの服がピッチリ籠に納まっている
「どれも名前が括られてあったのですが、それぞれ部屋に届けた方がいいですか?」
一応、名前ごとに分けておいたのだけど
「風呂場に置いて、自分達で持ってくんだ」
俺も運ぶな!と笑うエースさんの言葉に甘える。籠は五つ。エースさんは山盛りの四つを器用に持ち上げた為、私は残ったさほど重くないソレを抱える事となる
「ありがとうございます」
「いいんだよ。怪我人なんだから」
風呂までの距離をエースさんは転びもせず、ましてよろめきもせず進み(忍術学園だったら奇跡だ!)、私は何の問題もなく与えられた仕事を終えることができた
「エースさん」
「なんだ」
「手伝って頂いたお礼に、取って置きの忍術をお見せします」
そう言えばキラキラ輝く瞳
ふふ、笑って、さて何をやろうかと考える
変装、は止めておこう。まだ知られたくはない
エースさんが炎だから、火遁・・も彼がどの程度か分からないから止める
ん〜・・・、あ、
「マルコさん、終わりましたよ」
甲板に出れば目に入る金色。仕事は終わったのか特に忙しそうでもなかったし声を掛けると、驚かれた
「・・・終わったのかよい!?」
まぁ、普通だったら一週間は掛かる作業だ。驚かれるのも無理はない
「名前、スッゲー早ぇんだぞ!」
面白くて俺ずーっと見てたんだ
「今からエースさんに忍術をお見せするんですが、一緒にどうですか?」
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