一
□お早う
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「マルコ呼んでくるから待ってろな!」
あいつちょっと前にクルーに呼ばれて行っちまってよ
と出ていった男、エース
強い
あれは戦う肉体だった
だが奇妙なのは彼の格好。背中には刺青があるし(任侠者が彫るには簡易にも程がある)露出が激しすぎやしないか
彼の目的はなに?
ここは何処?
監視の気配も扉に鍵が掛けられた様子もない
再び視線を落せば自分は南蛮衣裳のような物を着ている。しんべヱの荷物で見た、確か・・・南蛮の寝間着
腹を捲ると包帯が丁寧に巻かれていた(しかもこの寝間着も包帯も木綿だ!)。これはどう考えても
「テッポウタケ、じゃ、ない・・・」
潜入したときこんな部屋はなかった
大体敵をこんな丁寧に治療するのは伊作ぐらいだ
と言うより
「死んだ、はず・・・」
そう呟くと、ぞわり、体が震えた
霧の中
私の苦無が雅お姉様の喉を切り裂いたと同時、お姉様の忍刀で切られた腹
足止めで終わりたかったのに、それを許してはくれないお姉様
大きく裂けた腹、大量の出血
押さえた所で大した意味は為さなかったが、どうしても生きて帰りたかった
冷たくなる体に、それも叶わぬと理解し、覚悟したのに・・・
気付けば揺れる部屋、潮の香り
生きている、この身体
せめて場所だけでも確認しようと窓に向かって歩きだした時、二つの気配が近づいてきた
「起き上がって大丈夫かよい」
バナナ二号!(一号は当然、四年のタカ丸)
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