□出逢う
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医務室を後にし、耳元で呟かれた言葉を反芻する



何となく聞き取れたのは




「先生」


「任務」


「戦の準備」


「キリマル」







身元を調べなきゃならねぇ。海軍関係者だと厄介だよい





「イゾウ、今いいかよい」



親父の元へ向かう途中、甲板で愛用の銃を弄っていた奴に声を掛ける



「なんだ?」

「医務室でエースの手伝い頼まれてくれ」



「エースの?」

「行きゃあ分かるよい」



訝しげなイゾウに背を向ける。奴なら安心して任せられる(近くに暇そうなサッチもいたが、間違っても奴には頼まねェ)











マルコに言われ医務室へ入ると、手持ち無沙汰に足をブラブラさせてるエースの横で先程釣り上げられた女の手術が行われていた



「エースを手伝えっつぅことだったが」

お前ェ何してんだ?



「こいつ、起き上がろうとすんだよ」

力、スゲーんだ。さっきもマルコと二人がかりでさ、ナースじゃ無理だった



ボロボロなナース達の姿はこいつが原因だったか



「この細腕でなぁ」



見たところそれ程筋肉がある様にも見えんし、ナース長や隊長格を煩わせる程の腕とは思えねぇ



「変な服着てたし」



指差す先を見る
篭に纏められた黒い布



そういやぁ体に張りつく黒髪と美しい容姿、甲板に滴る朱が印象的で服なんざ見ていなかったな

黒い服だったのは覚えていたが



広げようと持ち上げると何故かズシリと重い。それは・・・



「忍び装束じゃねぇか」



懐を探れば出てくる出てくる武器の山

あっという間にテーブルは一杯。もしかしてとナースに少女の下半身を確認させればやはり大量の武器(エースが唖然としていた)






だが様子が可笑しい。モノが古臭い



まるで古道具屋、自分も資料で見るよう物ばかり。しかも


「随分と、血生臭ェなあ」



着ていた本人が大量出血なのだから血が付着するのは当然。だが中には固まってこびり付いた物もある。時間が経った血だ


果たしてこれは本人のものか、それとも返り血か









少女の顔を見る



この辺りを航海する海賊



どこぞの島の忍者(後者は無さそうだ。この辺りに島はない)



海軍や世界政府関係者という可能性もあるが・・・



容姿はまるでお姫様






「ふ、面白くなってきたなぁ」


装束を篭に戻す。今頃手配書を読み漁っているだろう長男を思い浮かべ、ニヤリと笑った




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