□心隠し
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食堂ではマルコさんやエースさんが席を取って下さっていた



「名前今日は誰だ?」

「忍術学園の食堂のおばちゃんです」

「あっ、旨い飯のおばちゃんか!!」



いつものように挨拶をしてニコリと笑えば目線をさ迷わせて、おはようと返す。普段とは違うよそよそしい態度に密かに苦笑(きっと、夕べの事を思い出しているのだろう)



きり丸を部屋に連れていった後の数分間

一方的な抱擁

されるがままのあの行為

嫌だったわけじゃない。多分私は・・・いや、確実に彼に惹かれていた

マルコさんはなにも言わず抱きしめてくれていたのに、最後に私は彼の胸を押した



・・・急に、恐ろしくなったのだ

彼の胸の鼓動が、力強さが、暖かさが、全てが愛しくて、自覚した途端恐怖を感じた。自分が自分でなくなる感じ。演技ではなく心の内から沸き上がる感情に戸惑った



今だって、あの感覚は胸の辺りに燻ったまま私の感情を掻き乱す。ソレを理性と矜持でひた隠し、私は彼に笑顔を向けている

おばちゃんに変装したのだって、こうでもしないとマルコさんには感情を読み取られてしまいそうで怖かったから



向けられる視線は気づかないふりをして、弟達とカウンターへ向かう

コックの方々から朝食を受け取る間も、背中にチクチク刺さるむず痒い視線



「おのこしはゆるしまへんでー!」

『いただきまーす!』




気付かれてはいないだろう


気付かせてはいけない



周りできゃらきゃら賑やかに食を進める姿を微笑ましく見守る私



それだけだ



決して取り乱してはいない!



『ごちそうさまでした!!』

「あんた達、食べたらお風呂入って洗濯よ」

「お、じゃ、俺と入るか!マルコも行こうぜ!」

「わーい!エースさんとお風呂!!」

先行ってるぜー!!



トレーをカウンターに戻しドタバタ忍者にあるまじき足音で駆け出して行った12人(1人は忍者じゃないけれど)



「よろしくお願いしますね」

「んぁ・・ああ、よい。イゾウ、チビ達風呂入れるからお前も来い!」

「ん? ああ、オメェら二人じゃ心配だな」

溺れたって助けれねェからな



































‐君は笑う、コイツは窺う‐


この二人なぁんかあったな

さてさて、どうからかってやるかねェ

.
 

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