一
□呼ぶのは誰?
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いけいけどんどんで委員会中、突然動きを止めた七松小平太体育委員長
その背を追っていた平滝夜叉丸は不思議そうに立ち止まる
「七松先輩どうなさったのですか?」
見上げると普段は見せぬ険しい顔。握る迷子縄に力が籠もる
「滝、三之助、二人を連れて学園に帰れ」
「は?」
「へ?」
既にリタイアし先輩の肩に担がれていた金吾と四郎兵衛を渡された
「緊急呼出し音、上級生は学園を警戒」
二人の顔が強ばる。その言葉の意味を、危険性を、理解しているから
《緊急呼出し》
それは実習で先生の付き添いのない上級生が命の危険に晒された時、学園に危険が及ぶような事態に陥った時、使われるモノ
「はい! 三之助、金吾を頼むぞ。私の背だけ見て走れ」
「分かりました!」
頼もしい後輩の姿を確認し、小平太は音に向かって地を蹴った
‐助けを求めるのは誰‐
任務に出ているのは名前と五年の尾浜勘右衛門だ
無事でいろ!
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