二
□教えます
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結局、眠らずに朝を迎えた
出来上がった服を持ち部屋を出る。良い出来に満足。ただマルコさんに心配を掛けてしまった事だけが、後悔(だから自室でなく裁縫部屋にいたのに!)
明日からはもっと気を付けよう。不眠不休の作業は慣れっこなのに、マルコさんは心を痛めてしまうようだから。白ひげ海賊団の長男として日々忙しく働くあの人に、これ以上迷惑は掛けたくない
迷惑なんかじゃねェよい
そんな私の思いを知ったら、貴方は優しく笑うのだろうけど
大部屋の前に着く。チクチク痛む心には蓋。ニヤリ、くの一の仮面を被る
「起きろーーっ!!!」
『きゃああぁぁ!?』
ぐっすり眠っていた弟たちを叩き起こし「帰れるまで私が授業をします!今から朝練!!」と宣言すると、彼らは再びマットに沈んだのだった(勉強せずにすむと思ってたのね、甘いわ!)
着替えをすませ(手作りよと告げれば嬉しそうな笑顔)、部屋から叩き出す
学園生活と同様、朝食前に朝練。それから午前中は教科、午後は実技の予定。よい子たちは教科書を持ってきているから授業を進めるのに問題はない
彼らの為にも、なにより教科担任の胃炎の深刻化を防ぐ為にも、普段通り進めなければならないのだ!
これで授業が進まなかったら、土井先生補習のやりすぎで過労死すると思うのよね・・・
名前が拳を握り締め使命感に燃えている中、庄左ヱ門はキラキラと目を輝かせている
「学園首席の名前先輩に教えて貰うって凄いじゃないか!」
未だブーブー、鼻を鳴らすクラスメイトに向かって学級委員長らしくそう叫ぶ。しんべヱはポカンと目を点にし、まぁ確かにと頷くきり丸
「こんな機会めったにないけどさ〜」
それでも、やっぱり授業は乗り気じゃないと首を振る、可愛い可愛い弟
だが名前はそんなきり丸をやる気にさせる、魔法の言葉を知っていた
「きり丸」
「私の授業料は、タダよ」
タダ
それはドケチにとって魔法の言葉
心踊るサウンド
「タダ!えひゃひゃひゃ!!」
予想通り目を銭にして、授業!授業!タダで授業!と俄然やる気になったきり丸
私は教師じゃないからタダなのは当たり前なんだけど。考えるより先に体が反応しちゃったみたい。気付いたら怒られちゃうわ
他のよい子たちもつられて笑顔に変わる
「名前先輩の授業だもん、ぼく頑張る!」
「教科はテキスト122ページからですよ!」
「学園首席になる秘訣ってあるんですか!?」
「手裏剣を当てるコツ教えて下さーい!」
「もっとナメクジさんと仲良くなるにはどうしたらいいですかぁ〜?」
元気な声に、ニッコリ。一度ヤル気になれば何でも一生懸命な子たちだ。これからの授業もすんなり進むだろう
「さあランニング!甲板二周!!」
『はーい!!』
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