□事実は…
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ゆらゆら、こくり・・・

ゆらゆら、こっくり、こくり・・・




宴もたけなわ。対して船を漕ぎだす忍たまたち

一人、二人三人と夢のなかに落ちていく



海賊であるクルーにはまだまだ宵の口だが、子供はもう寝る時間



エースさんの膝には団蔵

ハルタさんは庄左ヱ門を背負い

ラクヨウさんの体に三次郎、兵太夫、虎若、喜三太が寄り掛かっている



「マルコー、こいつらどうすんだ?」

「今ハルタの隣空けてきたよい」

「おーい、チビたち部屋運ぶってよー!」

「エース、床にマット敷いてあるからそっちに寝かせろ。ベッドは慣れてねェと落っこちるからねい」

「分かった!」



団蔵を抱き抱えたエースさんが甲板に向かって叫ぶ。空いたほうの腕を振り11人いるかー!?忘れんなよー!なかなか大声だと思うが団蔵は身動ぎせずスヤスヤ眠り続けている

余程眠りが深いのだろう。朝からあれだけ騒いでいたのだから当然だが



小さな体を抱えエースさんに続くクルーの皆さん

ありがとうございます。よろしくお願いしますと伝えると、気にすんな!と笑われた



「キリマルは、どうするよい?」



マルコさんが見下ろす
名前の横のきり丸だけは目を真っ赤にして必死に起きていた



「きり丸、寝てしまいなさい」

「・・いい・・」



ふるふる、頭を振り、体にしがみつく

いくらバイトで夜更かしや徹夜に慣れているといっても十の幼子だ。もう睡魔は限界まで迫っているだろう。子供特有の暖かさが腹に伝わってくる



・・・随分小さくなったわ


記憶にある背中よりずっと細くなってしまった弟



原因は、私
愛しい気持ちと、申し訳ない気持ちが心を占める



ごめんねの意味を込めてゆるゆると背を撫でた



「部屋、行きましょうね」
「やだ!!!」



船の中で1オクターブ高い声に、どうしたどうしたとクルーの目が集まった



「寝たら夢が覚めちまう!やだ!また、俺を置いて、みんな・・!!」
「きり丸」



悪戯を思いついたような、そんな顔で、にんまり、笑う

しまった、ときり丸の頬が引きつった



「うふふ。私に隠し事なんて、許さないわ」


気付かないふりで、笑って、でも、それじゃあダメでしょ?



みんなが大泣きした時に、気付いちゃったもの



「私、とっくに死んでるんでしょう?」



騒々と甲板が揺れた


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