一
□酒場へ
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「ねぇ名前、昨日は買い物だけで帰って来たでしょ?」
今日は酒場に行かない?
勿論、マルコの奢り!
可愛らしい笑顔のハルタさんに誘われて、船を後にする
私の周りにはマルコさん、エースさん、サッチさん、ハルタさん。まるで護衛か何かの様な光景に苦笑する。だって、島の人たち皆避けて行くんだもの(それだけ彼らは実力者なのだけど)
守られるような女でないと自覚しているだけに、この待遇は何だかくすぐったい
「名前はさァ、何で変装してんだ?」
「目立つ必要はないので」
エースの斜め後ろを歩く名前。その顔は全くの他人。なんてェか、普通だよなァ
ソレも学園の仲間の顔かって聞いたら、近くの団子屋の娘の顔なんですって教えてくれた
「貢がせるわけじゃないので」
平均的な顔にしたんですけど。美人の方が良かったですか?
「ナースの方とか?」
「是非っ!!」
「・・・すんません」
「ああ。調子乗んなよい」
マルコさんに諫められたサッチさん。頭には大きなたんこぶが二つ
『お前たちはああぁぁっ!!』
『『『ごめんなさーいっ!』』』
『名前先輩ぃ!』
『こら喜三太逃げるな!』
『あらあら、おっきなたんこぶね』
『えへへ』
『喜三太ズルい!』
『先輩僕もナデナデして下さい!』
『ボクも!』『私も!』
『ふふ、順番にね』
『お前ら反省しとるのかあああぁ!!!』
「・・・名前?」
ひくっ、口元が引きつる。目の前には酒場の看板が立っていた
「入らねェのかよい」
「ごめんなさい。考え事をしてました」
ふふ、と、私はちゃんと笑えたのに、目の前のマルコさんは眉間に皺を寄せる(本当に、どうして彼には私の喜怒哀楽を感じ取られてしまうの?)
「ほら、入りましょう!」
「・・・よい」
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