一
□敵を討て
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和かな日々なんてものは、長く続かない(まぁ海賊船に和かさなんて求めてはいけないだろうけど)
「敵襲だああぁ!!!」
見張り台からの雄叫びに、甲板でのんびり午後の一時を過ごしていたクルーのテンションが一気に高まる
「うおおおおっ!!」
「俺たちに喧嘩売るたァいい度胸だ!」
「どうせどっかのバカだよい」
敵は甲板に出ているだけでざっと100ってとこか・・・まぁ何時もなら持ち回りの隊が相手すんだが(1600人がいっぺんに動いたら逆に危ねェよい)
都合の良い事に、今回の担当はウチの1番隊
「マルコ隊長、何時でも行けます!」
「悪ィが次に回すよい」
「・・・へ?」
こいつらも行きてェだろうが、今回は我慢してもらうしかねェ
「名前」
甲板の隅、積み荷にもたれ掛かり敵船を見やる少女
最近は鍛練も始め、中々動きもいい。何より彼女の戦闘能力を知るにはいい機会だ(忍術じゃねェ。知りたいのは、闘う力)
「腕、鈍っちまうだろい?」
そう問えばニッコリ笑った少女
「名前、お手並み拝見、だよい」
マルコさんの言葉に、一つ頷く
渦中の敵船は随分近づき、何やら喚いている。本気、になる程の相手じゃないな。そう言えば、白ひげ海賊団が実際に戦う姿を見たことが無い
「どこまでやるべきですか?拘束?殺害?」
郷に入れば郷に従え。売られた喧嘩は数倍返しが常だったが、今は彼らの法に従う。殺せと言われれば殲滅するし、否拘束だけと言われたら吊し上げる
「どっちでもいいよい。取り敢えず身動き取れなきゃいい。船を物色したらお帰り頂く」
「分かりました」
さて、自身を見下ろす。今はナースに貰ったワンピースを着ているが、まあ問題ないだろう(着物よりずっと動きやすいし)。服装はそのままに、口元を布で覆う
「では、行って参ります」
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