一
□私たちの幸せ
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「忍術学園ってなぁなんだよい」
酒を煽りながら聞かれた内容。彼らには話してもいいか
忍術学園
それは忍者を目指す齢十から十五の子供が共同生活を送る学舎
男子は忍者の卵、略して忍たま、女子は女忍者くの一の卵でくのたまと呼ばれる
両者は日々忍術、一般教養、礼儀作法、芸事、色事、医術、戦闘技術、諜報技術など、忍に必要なこと全てを修得する
とはいえ、全ての生徒が忍を目指す訳ではない。行儀見習いコースの生徒は上級生に上がる前に卒業となり、残った者も上に上がれば上がるだけ少なくなる
「私はくの一教室の六年生です」
「その怪我は訓練でか?」
指差された腹を撫でて首を振る。普段の実習でこんな怪我は作らない。緊急事態だったから、自分の手の内を知る敵だったから、此れ程の大怪我を負った
「忍者の学校であるが故に敵は多い。コレは敵に攫われた後輩を助ける時に斬られたモノです
敵忍者の中に去年卒業なさった先輩がいらしたもので、此方も無傷で殺すことは出来ませんでした」
でも、雅お姉様でよかったと思う
お姉様がどこぞの忍に殺されるのは嫌
この体に、家族以外の者が傷を残すのも、嫌
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