□出逢う
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‘エースが血塗れの女を釣り上げた’







それは一気に船内を駆け巡り、当然執務室で作業するマルコにも届く


またうちの末っ子かと溜息をつき部屋を出た(たった今手直ししてた書類もエースのだった。ハァ・・・)






そんでもって医務室の前には濡れた髪を拭く渦中のエース


「またお前は問題持ち込みやがって」

なに釣ってんだよい



「俺もビックリしたぞ。女の子だし、血だらけだったしさ」

抱き上げた俺も血だらけビックリだよな。ちゃんとシャワー浴びてきたぜ、にしし








無邪気に笑う末っ子に頭痛が・・・もう頭痛しか起こらねェ・・・

「誰か! 手を貸して!」






「マルコ!」
「ああ!」


ナースの叫び声に医務室のドアを乱暴に開ける



治療中のベッド、その上に覆い被さるナース達



「アンタたち! さっさとこの子押さえなさい!」



ナース長の怒号を受け近づくと彼女を残し他のナースが離れた






ベッドの上に居たのは見知らぬ美しい少女


顔は白く虚ろな目は何も映してはいない


だがその体は起き上がろうと藻掻き、腹に押し付けられたガーゼを赤く染めていく





直ぐ様マルコが肩と腕、エースが足を押さえつけたのだが



「うわっ!?」
「っ、なんだよい・・・!!」



治療の為服を脱がされた少女



二人の目の前でふくよかな胸が揺れているが気にする余裕なんてない(居たのが俺とエースで良かった。サッチじゃなくてホント良かった!)



予想外の力に一瞬体を飛ばされかける。これはナースじゃ無理だ



「鎮静剤が効きやしない!」

ちっ、と舌打ち



他のナースは少し下がった所で(恐らく放り出したのだろう)散らばった治療器具を手際よく片付け新しい物に取り替えている




・・・、・・・



「マルコ、コイツ何か言ってねぇか!」


か細い声に気付いたのはエース

口元に耳を近付ける







、せん、せ・・・にんむ、ほ・・・ぅ・・・



任務・・・海軍関係者か?
眉を寄せて少女を見下ろす。確かに、海賊には見えねェがよい



テッ、ケ・・・さ、人・・・戦、準備、を"ぉ・・・


「それ以上喋らせないで!」

血が流れる!



「んな事言ったってこっちも両手塞がってんだよい!」

どうしろってんだ!?



しかし、そうしている間にも血は流れ少女の命を削っていく



「分かった。分かったから、とにかく寝ろよい・・・っ」



何とか言い聞かせていると(聞こえてるとは思えないが)腕に痛みが走った。少女が、マルコの腕を握りしめている。そして今までよりはっきりと紡がれた言葉



「先せ、きりまる、無事・・・?」



それはエースにも届いたらしい



「ああ、無事だぞ。ぴんぴんしてるって!」



・・・よか、たぁ







力が抜ける



マルコもエースもはぁっ、と息を吐いた



「輸血! さっさと縫うわよっ」

『はいっ!』



自分たちと入れ代わり少女を取り囲むナース達



純白のナース服は赤に汚れ、普段ピッチリ纏められたナース長殿の美しいブロンド髪も今はボサボサ。皆鬼気迫る勢いで治療を始めた


「隊長殿、念の為残っていただけませんか」



ガーゼを運ぶ一人のナース

確かに、また動きだしたら事だよい



「俺は親父に報告するからよい」

エース頼む



「他の奴にも来させるよい」
「分かったけど・・・大丈夫か、腕」



エースが指差すのは少女が握っていたマルコの腕

青い炎が左右で10箇所、指の置かれた位置で燃えている



「肉まで持ってかれたよい」

「何モンだ?」





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