一
□守るのは私
1ページ/3ページ
‐ピュィィィィ‐
森に響き渡る高音・・・それは常人の耳には届かぬ音域
忍術学園の生徒が用いる緊急呼出し音
それに応じ空と地上からやってきたのは、この辺りに棲む生物委員会管理の動物たち
隼‐雪丸‐
狼‐ミツ子、ハナ江、ヨシ丸‐
肩に留まる雪丸の足に密書(テッポウタケ城の見取図と内部情報)を括り放つ
先生や耳の良い小平太ならこの距離でも音を聞きとれる。直ぐ様非常態勢を取り駆け付けるはずだ。私はこの子達が逃げる時間を稼げばいい
視線を落とす
足元で不安そうに此方を見上げる小さな忍者の卵に微笑んだ
「助けを呼んだから大丈夫」
三人はボロボロ。森を最高速度(体育委員も真っ青なスピード)で駆け抜ける中必死にしがみ付いていたのだから当然だろう。多分もう、この子たちの筋力では学園まで保たない
さて・・・
「貴方たちに任務よ」
しかしここはまだ学園の裏裏裏裏山。幼いこの子達が自力で帰るのは不可能
三人をそれぞれ狼の背に乗せ帯と紐で体を括る
「必ず学園に帰りなさい」
行け!
狼の背に掴まり泣きそうな顔を向ける彼らを背に、地を蹴る
.