運命(いま)を変える者(トリップ 石田落ち)
□幸せ・・・一本でも抜いたら辛くなるの
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三成さんは伝えるのが遅すぎた。縁側に出てみればもう日は山の奥へと沈みかけていた。
というかさっきからバタバタしている音には気がついていたのに、何で行動しなかったんだ私!?
城中を駆け回るとほとんどの襖が取り外されていて、広々とした空間が広がっている。
そして、置いてある上品な机のどれもに素晴らしい料理が所狭しと並んでいた。
少しでも手伝わなければと調理場へ足を運ぶと既に調理は全て終えていたようでがらんとしていた。
・・・約一名を除きまして。
「・・・・・・・・・遅い。」
私の気配に気付くなりそんな罵声を浴びせた人物の周りにはなにやら黒くてドス黒いオーラを放っている真っ黒な物体がごろごろしていた。
そしてなんか変なにおいがする。これ長時間いたら死ぬんじゃないかと思うほどの刺激臭だ。
この一面の黒はなんなのだろうか。ときどきブスブスとか聞こえるけど、大丈夫か。
「な、何をして・・・おいでで・・・?」
「決まっているだろう。今宵の宴は特別だ。だというのに私が何もしないというのは無礼にもほどがある。」
・・・なるほど。
きっと三成さんは私に宴のことを言いに来る前からこのダークマター・・・いや、円柱らしき形をした黒いものを作っていたんだろう。
しかし、まだ出来立てブスブスなものもあるところから
私を呼びに行ってすぐにここに戻ってきてポイズンクッキング・・・否デッドクッキングに励んでいたのだろう。
いや、現実的に考えろ私!私の部屋から調理場までってかなり遠いんだぞ!?
人間にそんなことできるかっ!無理だ、ありえない・・・あ、この人普通じゃないや。
「・・・まぁ、いい。それよりも早く私に『思恩』とやらの作成方法を教えろ。このままでは宴の場で振舞えない。」
「・・・は?」
「女中に方法を聞いて作ったらこうなった。先日貴様が作ったものとずいぶんと違うではないか。
その上出来上がったものを見るなり女中達が調理場から出て行く・・・全くわけが分からない。」
「・・・ああ・・・」
タグ理解。
いや、オールライト。
「さ・・・左様でございますか・・・」
いやはや・・・しっかし・・・
・・・あんた本当にお茶しか入れられなかったのか・・・