貢ぎ物
□ミルクパズル(Ib長編っぽいのの番外編)
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数分再会を喜び合った後、三人は喫茶店へと入った。
もともとこの中で再会を祝すはずだったのだが、あまりの嬉しさについつい気が急いていたのだ。
「今日はアタシのおごりよ!!目一杯食べていいんだからね!」
ギャリーはそう前置きをしてから、ゴホンと一つ咳払いをした。
「じゃあ、改めて・・・
再会を祝して―――」
「「「かんぱーーーい!!!」」」
それぞれギャリーはコーヒー、イヴはオレンジジュース、メアリーはレモネードを片手に乾杯した。
メアリーはいたずらがてら、ギャリーとグラスを重ねたときに思い切り力をいれ、コーヒーを零させてギャリーのコートを汚したりした。
だが、ギャリーにとって今日は無礼講だからなのか、笑って受け流していた。
あの日のことが嘘のような、幸せな時間。
「・・・おまたせしました。マカロンでございます・・・」
少し陰気な店員がギャリーたちのいるテーブルにきれいに並べられたマカロンの器を置く。店員はすぐにしずしずといなくなった。
しかし彼らは、そんなことを気にも留めない。
「来たわ来たわ!!これを食べに来たのよ〜!!」
ギャリーは揉み手をしながら嬉しさを隠そうともしない。つられてイヴたちもキラキラとした目で器を見た。
「いただきますっ!
パクッ
・・・あら?」
ギャリーは少し違和感を覚えた。前に来たときと味が違っていたのだ。
「?どうしたの?ギャリー?」
イヴもギャリーの異変に気が付いて不安そうに問いかけた。ギャリーは慌てて笑顔を作った。
「・・・いいえ!!なんでもないわ!ちょっと考え事してただけよ!!」
「・・・そうなの?じゃあ、私も食べてみるね・・・
・・・う〜ん・・・私はマカロン、苦手かも・・・」
「えぇ〜〜!?おいしいじゃん!!私は好きだな!!」
マカロンというのは、人によって好みが分かれる味である。それは、独特の風味と食感があるため。
それをクセになるほど好む人もいれば、嫌がる人もいる。
この三人もそれは例外ではなかったようで。
それでも彼らは幸せだった。
だからこそなのだろう。
彼らは取り零していった幸せの欠片に、気がつけなかったのだった―――
見失ったピースは
決して見つからない・・・
↓あとがき