あの日から(学園 筆頭落ち)

□アメとムチ
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「―――では、この問題を・・・天乃さん?答えなさい。」


・・・ハッ!


今私が当てられたのか!!凶悪な笑みのあまり気を失っていた!!


ちなみに現在、物理の授業中。ちなみに物理の先生は・・・


「どうしたのですか?天乃さん?早く難問が解けず悶え苦しむ顔を私に見せてください・・・フフフ。」



・・・かの有名な明智光秀先生だ。


ちなみに生物のほうは天海先生なんだけど・・・この二人が別人だなんて私は信じないぞ!!



・・・ってそんなこと言ってる場合じゃない!!


「え、えっと!その問題の答えは1753000Jです。理由は運動の量をあらわす二つの数を公式に当てはめて―――」



この程度の問題なら暗算でできる。私は仮にも優等生で通っているんだ。これくらいできなければ上に立つものとしての威厳がない。



「フフフ・・・見事です。必死に答えようと歪むその表情、すばらしい・・・」


あっ、どちらにせよ駄目だったわ。これはどうあっても明智先生を喜ばせるものにしかならないパターンだ。

ほら、ゲームでもよくあるでしょ。どんなに頑張っても絶対的に負けちゃうパターンのやつ。



「いいでしょう。私は楽しめましたから。座りなさい、天乃さん。」


いや、私は後味ものすごく悪いんだけど。

教室中の人たちが『かわいそう』『明智に気に入られちまったやつの末路だな』『合掌』とか言う声がひそひそ聞こえてくるってオイコラ誰だ合掌って言ったやつ私まだ死んでないぞ。



「Wait!! 由梨をおもちゃにするんじゃねぇよ。」


ちょっとタイミング悪くないかい伊達君と思ったけどナイスだよ。きっと抗議をしてくれるのは君だけだから。


「由梨は俺のものだ。勝手にenjoyしてんじゃねーよ。」


・・・ん?


なんか違うよ。いや、半分くらい違う。


「フフフ・・・私語は慎んでもらいましょうか。」


「なん―――」


キーンコーンカーンコーン・・・


「おや?もう終わってしまったのですか。まったく、楽しい時間というのはすぐに終わるくせに時そのものを忘れさせるからいけませんね。」



相変わらずの凶悪に微笑みながら教科書などをまとめていく。



「では、挨拶をしましょうか。起立。礼・・・」



―――5分後―――



・・・いつまで礼をさせるんだろうか。この体勢キツいんだけど。


・・・あ。それが魂胆か。



「どうしました?天乃さん。あなただけは私を憎々しげに見ましたね。」



「いえ・・・だってこれ苦しむ顔を見たいが為なんでしょう?」



周りがざわざわとし始めた。『そ、そんな為かよ!?』とか『やっぱり明智マジ鬼畜』とか聞こえる。というか、気がつかなかったのか。



「ほう。ばれてしまいましたか。ここは天乃さんに免じてやめましょうか。では、皆さんもう顔を上げていいですよ。お疲れ様です。」


ほっ、としたように皆一様に顔を上げた。しかし明智先生はこれじゃあ終わらない人だった。



「ああ、そうそう。皆さん分かってると思いますがテストは明日ですからね。しっかり復習して、私を楽しませるように。」




なん・・・だと・・・
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