あの日から(学園 筆頭落ち)
□委員長は遭遇率が軒並み高い
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「ふわぁぁ・・・あ。よく寝たぁ・・・って、あれ?」
ここ・・・どこだ?たしか昨日は石田先輩に付き合わされて、それで伊達君と偶然遭遇して・・・ああ。そっか。
「ここ・・・黒田さんの家か・・・」
人型の穴ぼこがそこかしこにある家。黒田さんの家。初めて入ったけど、割と質素だ。
それにしても朝にしては暖かいな。暖房はもう時期的にはないはずだけど・・・
あっ、そうだ今日は一時からバイト入ってたや。包帯きれてたから薬局行ってからにするか。どうしようかな。
(まぁ、ゆっくり考えればいいか。)
私にしては珍しく暢気さが発動した。
「お?天乃起きたのか。」
「あっ、黒田さん。おはようございます。」
スッキリした目で黒田さんを見据える。うん、挨拶って大事だね!!
「・・・は?何言ってんだ。もう昼だ。」
「・・・へ?」
ひ・・・昼・・・?
恐る恐る携帯を開く。画面には、デジタルな文字で『12:46』と表示されていた。
「いやあああ!!!!バイト!!バイト遅刻するぅぅ!!!!」
私は布団から飛び起き、手櫛で髪を整える。鏡ないけどそんなこと言ってる場合じゃない!!!
慌てて鞄を引っつかんで玄関を目指す。昨日歩いたから道は分かる。
「お前さん!どこ行くんだ!!」
驚いた黒田さんが私に問いかける。くそっ、時間ないってのに!!
「バイトです!!昨夜はありがとうございました!じゃあ私急ぐんで!!」
「・・・バイトの制服とか持ってるのか?」
・・・あ。
「な・・・ないです・・・」
「はぁ!?どうすんだよ!!!」
(で・・・でも、遅刻だけは避けないと・・・!!)
「どうにかします!!とりあえず遅刻だけはいけないんで!それでは!!」
私は玄関のドアを勢いよく開けて外へ飛び出す。太陽がすっかり上まで昇っている。
「あわわわ!!走らないと!!」
実はお腹が鳴っていたことは秘密だ。