あの日から(学園 筆頭落ち)

□クラスの人たち
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―――結局石田先輩は、朝読書のとき、あの本を読んでくれた。




・・・酷く不機嫌極まりなかったけど。




でもそんなに嫌なのに、どうして読んでくれたんだろう?顔は明らかに嫌がってたけど、口には決して出さなかったし。




まさか・・・本当に友達が少なくて、困ってる・・・とか?




それなら僅かながらでも友達作りに協力したい。私だって石田先輩に楽しいスクールライフを送ってほしいと思ってるんだから。





・・・でも、まぁ、彼もいろんな意味でリア充だったりする。





敬愛している人(豊臣先輩、竹中先生。どちらも男)に尽くして、その人のために行動する。見返りも求めないで―――



・・・ここまで変わったリア充を私はこれまで生きてきて見たことがなかった。





当の石田先輩がそれで幸せそうだからいいんだけど。






それにしても・・・明日、本当に何に付き合わせられるんだろう。私を使って刀の試し斬りでもするんだろうか。はたまた・・・ああ、死ぬ以外のルートが見つからない。誰か、私におにぎりルートを・・・





暗い気持ちになりながら、委員長としての仕事を終えた私は重い足取りで自分の教室へと向かった。




廊下から教室をのぞくと・・・




「ねぇねぇ、伊達君、その本どこで見つけたの!?」




「こんなの見たことないよ!!どこに売ってるんだろう・・・」




・・・また伊達君か。よっぽど変な本でも持ってきているんだろうか。




というか伊達君の周りってクラスの私以外の全ての女子が集まってるんですけど。あれですか、親衛隊ですか。





お〜お〜。他の男子は肩身が狭そうだね。というか居心地悪いよね。でもごめんね。私には何もできないよ。



「・・・チッ」




舌打ちまでしてる。気持ちは分かるけど。




「・・・」




何で伊達君はあんなにも女子が質問攻めしてるのに一言も話さないんだろう?しかも、つまらなさそうに腕組みしてるし。




・・・もしかして、こうやってもてはやされるのが当たり前だと思っているのかな?






まぁ、美形だし分からないことはないけど。でも表情はそれとは少し違った感じだ。・・・なんだか釈然としない。
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