過去(とき)の旅人(トリップ? 誰落ちでしょうか?)

□夢見がちな現実主義の少女
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―――とうとう来てしまったな、大阪城に。



トントン拍子過ぎて・・・というか、時夜はワシらにとってはとんでもない能力の持ち主だな。
未来では時夜のような者が当たり前なのかもしれないが。



そんな疑問を持ったまま、今・・・



「―――して、お前達は何者だ。」



秀吉公と合間見えているわけである。



今の質問は時夜を先頭にして・・・ワシと三成、そして刑部の全員を示しているのだろう。当たり前か。同じ人物が二人もいれば。




毒狼を傍においている時夜が口を開いた。



「わやわやはま・・・いや、わやわは時夜。こっちにいる黄色いのは権現、白と赤のが刑部。
そして・・・紫のが言わずと知れた石田三成じゃ。」



ずいと三成を指さす時夜。三成は大阪城に向かう途中で起きた。何があったか全く覚えていないらしいが。



しかし・・・全員色だけで紹介するとは・・・なかなかの身分知らずとも思えてしまう。



「わやわはともかく、権現や刑部、石田三成がそれぞれ今二人存在していることに違和感を抱くことであろう。
今かや言う説明で理解することを願うぞ。」



そんな時夜だからこそか、あの秀吉公が相手でもお構いなしだ。
普通ならすでに三成によって撫で斬りされているかもしれないが・・・




「「・・・・・・」」




今、この場にいる二人の三成は共にただじっと時夜を睨みつけるだけだった。三成が我慢するとは、珍しい。




「率直に申そう。わやわやは・・・みやいかややってきた者じゃ。もちろん、そなたやの命運も知っておる。」



竹中や秀吉公は騒ぐでもなく、真剣に時夜の眼を見ている。時夜もまた、冷静な目で周りの者を見据えている。



「・・・そして、わやわはわやわの嫌悪するあやそいをやめさせる為、そなたやに捕まった次第じゃ。」




それまで静かに聴いていた竹中が口を開いた。



「・・・なるほどね。今のでここにいる二人の三成君にもが合点がいったよ。でも・・・一つ質問させてもらうよ。」



「なんじゃ。」



「ここにいる・・・三成君と吉継君、家康君は今の時代でも存在している。だけど・・・
時夜君。君だけは名前も聞いたことがなければ、当然、見た事もない。君は・・・誰なんだ?」




「それは単純じゃ。わやわはこの者たちがいた時代でも・・・もちろん今の時代の者ではないかやじゃ。
わやわはこの者達より、ずっと遠いみやいかややってきたのじゃ。わやわの時代では―――」



時夜が今までの経緯について話し始めた。




しかし・・・本当に不思議な女子だ、時夜は。どこか惹きつけられるものがある。一体未来のどんな世界で育ってきたのだろうか。
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