過去(とき)の旅人(トリップ? 誰落ちでしょうか?)

□復活?再誕?
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※家康視点




少女の毒狼という式神がその背に乗せてつれてきた変わり果てた刑部を見てすぐさま駆け寄り三成は生き返れと懇願するように叫んでいる。





そんな三成を観察するかのように見ている少女。その眼は何かを試しているようで。




少女は泣いて叫び始めた三成を見て、決心したように近寄った。




「・・・そなたはこの者にもう一度生を与えやれることを望むのじゃな?」




三成はまっすぐな瞳で少女を睨みつけた。





「当然だ!!私をおいて去るなど許しはしない・・・!!!」



「それではそなたが・・・そなたやが大変な思いをすることになっても?それでもいいのかの?」



「・・・知れたことを。」



「そなたはどうじゃ?権現。」




少女が今度はワシに聞いてきた。
ワシも思う。刑部を、救えるものなら救いたいと。



「ワシも三成と同意見だ。刑部を・・・救いたい。」




そう応えると少女はため息をついた。





「そうか・・・よかろう。わやわがこの者を生き返やせて進ぜよう。」




その言葉には驚かずにはいられない。驚きのあまりつい声が出た。




「た・・・助けられるのか!?死んでしまっている人間を!?」




「救えぬのなやばはじめかや何も言わぬ。この者は命を賭して石田三成をかばった。
その賞賛の意かやじゃ。この者がこのまま終わるのはあまりにも惜しい。」




そういいきると、少女は深呼吸をした。先ほどまでとは全く違う、神妙な表情になって。




「―――よし。では、はじめるとするかの。その者かや離れておれ。」




三成に手で合図を送る。少しためらっていたが少女の言うとおりにした。




少女が懐から式神のものとはまた違い、今度は正方形の紙を取り出した。紙には不思議な占いに使うような紋章が書かれている。




刑部のもとまで行き、カサッ・・・と紙をその体においた。




少女の手が印を結ぶ。



「時空よ、捻じ曲がれ!!彼の者の生命輝きし時へと遡れ!!そして、その御霊をも呼び戻せ!!!!」




すると、紙から青色の光が放出され少女と刑部を包む。とても眼を開けていられない。




しばらくして、光がおさまった。恐る恐る眼を開けると、そこにはため息をついている少女と呆然と辺りを見回している刑部がいた。
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