運命(いま)を変える者(トリップ 石田落ち)

□料理と甘党と現状と
1ページ/10ページ

「―――姫様!!ここはどうやればいいのですか?」



「そこは―――さっくりと混ぜて・・・」



「姫様!!さっくりとはどういった感じですか?」



「ええっと、私がお手本見せるからまねして・・・」



・・・ゑ?・・・誰コイツ?とか思わないでください。



私です。永葉 姫夜です!!



あれから数十日が経っていた。



私はそれこそ「姫様」と呼ばれてはいるものの、やっていることは料理教室の先生だ。



母が亡くなって以来、家事は全部私がやっている。
料理もお菓子作りも好きだ。裁縫も。だから家庭科は得意。




そんな私が、未来で食べているお菓子や料理を教えている。



そのためだけにオーブンもどきなんかも作ってしまったり、(時代的に言うならかまどかな?)



鍛冶屋に特注で型を作ってもらったり。今日はシフォンケーキを教えている。



せっかくなのでいろんな味を作ることにした。プレーン、抹茶、小豆、野菜・・・




私はやっぱり見本を作る側なので、今作ってるのはプレーン味。



この時代では、しっかりとした材料は揃わない。だから、ちょっと無茶振りな感じもしないでもないね。



―――これ、三成さんに食べてもらおうと思うんだけど(笑)。




できた生地を型に入れて、オーブンもどきを使って焼いた。



・・・チーンとは鳴らないけど、焼けた。




「よし!完成〜あとは冷めるのを待って、冷めたら型から出すだけだよ。」




「冷ましてしまうんですか?せっかく焼いたのに・・・」



「うん。そうしないとやわらかすぎて形が崩れちゃうの。」



「はぁ!そうなんですか!」



なんて会話がある。やっぱり教えるって楽しい。



ちなみに私は城内でもっとも料理の腕が高いらしく、
いろんな人に秘訣を教えてほしいといわれる。




・・・自分でもわからないんだけどな。



ケーキが冷めるまでの間、私は洗い物や女中さんのお手伝いに行った。



私は一応、名目上は三成さんの側室。
あれから色々あって、
言い争いをしながらも少しずつ分かり合っていった。




その証拠に、今は「石田さん」ではなく「三成さん」と呼んでいる。
三成さんも私のことを「姫夜」と呼ぶようになった。



・・・まだ少しこそばゆいけど。



でも、変わらないところもある。
まず、平気で人を殺す。他にも色々あるけど。
私にはナゾ過ぎる。



―――しばらくして、そろそろ冷めたかな、と台所へ向かう。



もちろん、教わりに来ている方々も一緒に。



型からはずし、切り分けながら思う。


(―――三成さん、食べてくれるかな。)



不安と期待でドキドキしながらも私達はお茶と一緒にそれらを持っていった―――
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ