ポケモンBW 長編
□新しい出会いへ
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―――わからない。
どこで間違っていたんだろう。こんなボクが何故英雄に選ばれたのだろう。
―――本当は分かっているクセに。
もう一つのボクが毒づく。たしかにその答えは彼女とチャンピオン、アデクが教えてくれたはずだ。だけど・・・
・・・それでも腑に落ちないものがある。
彼女がボクを追ってこないのは、きっとボクに猶予を与えるためだろう。
ボクはどこから間違っていたか・・・これからどうやってポケモンとトレーナーを見守っていけばいいのか。それを学ぶ為に。
彼女は誰よりも強く、誰よりもポケモンを大切にする人間だった。だからこそボクは敗れ、今こうしている。彼女こそ英雄にふさわしかった。
「・・・ここは・・・?」
もちろん、地図なども持っていないので此処がどこか、知る由もない。
「・・・とりあえず、降りてみようか。レシラム。」
レシラムはコクリと頷いて降下をはじめた。・・・レシラム。英雄のもとに姿を現し、力を貸すポケモン。
地上へゆっくりと着地する。レシラムはやわらかい純白の毛並みをしていて、それがまた着地の衝撃を小さくした。
降り立ったその地には、見たこともないポケモンで溢れかえっていた。そして、どのポケモンも生き生きとしていて・・・
「・・・とてもボクが城で見てきたのと同じポケモンだとは思えないよ。」
城で見てきたポケモンだって、同じようにタイプがあって技があった。だけど、いつも目が死んでいた。絶望に支配された、目。
「・・・彼女はボクを見てどう思ったのだろうか。」
城でボクがどんな生活をしていたかを知ったんだろう。イッシュを旅をしてきて気づいた。ボクは普通の育ち方をしていないことに。
それを知っても彼女はボクを『ヒト』として見てくれた。過ちを正し、ボクを導いてくれた。でも・・・それでもボクはやっぱり・・・
「所詮はゲーチスの操り人形・・・か。」
父親、ゲーチス。・・・血が繋がってるかも分からない。
アデク達によって捕まったが、それを知ったダークトリニティが何もしないなんてありえない。恐らく彼らによって脱走しただろう。
「・・・ふぅ。やっぱりわからないなぁ。・・・どうすればいいんだろう・・・」
そのときだった。
「―――!!―――!!」
ポケモンが叫ぶ声が聞こえた。何を言っているか。普通のヒトにはそれがわからないがボクには分かる。
ポケモンは・・・『行カナイデ』と泣き叫んでいた。
すぐさまボクは声のするほうへと向かった。もし、ポケモンを捨てようとしてるトレーナーなら赦すわけにはいかない!!
・・・しかし、ボクの予想は外れた。
いたのはそのポケモン一匹ではなく、トレーナーも一緒にいた。しかし、トレーナーは倒れていたからだ。
ポケモンはそれを心配そうに見つめていた。