そのほかの短編(Ib『なにこれチャプチェ』追加!!)

□桜桃(サブマス)
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「―――シャンデラ!!オーバーヒート!!!」


「シャンッ!!」


ふいにそんな声が聞こえて身構えたけど、ボクのポケモンにはその炎は向けられてなかった。



その技の対象は・・・侵入者のポケモン、バニリッチ。



「ニリ〜〜!?」


効果が抜群だったからか、あのシャンデラの力がすごいのか。多分どっちもだけど一撃だった。


そのポケモンに指令を下したトレーナーは、一風変わった女の人だった。

イッシュでは見かけない、花模様が金やら銀やらで煌びやかに描かれた布を
ベルトというには大きすぎるものが腹部にあり、それによって服として成立しているようだった。


・・・たしかこれって、ニホンとかいう国の衣装だよね?



「加勢するでござるよ!!え〜っと・・・」


しゃべり方もちょっと変わってる。


「サブウェイマスター。

・・・君は?」



「娑部上今星亜でござるか!!拙者はこの鉄の塊の乗客にござる。

あと、安心なされよ!他の乗客はみな既に避難しておられる!!
たしか・・・そなたによく似た男が来たのでその者に任せてあるぞ。敵は拙者が片付けた!」


とりあえず味方だと思っていいみたい。鉄の塊ってちょっと傷つくな。
サブウェイマスターの言い方もおかしかったけど今はそんなこと気にしないでおこう。

乗客はノボリがどうにかしてくれたらしいから、もう何の心配もないね。

あとはただ、この場を切り抜けるのみ。



「じゃあ、力貸して。ボクは左を片付けるから、君は右を。


・・・ボクの背中、預けるからね。」


正直、そこまで気を許していいのかは分からない。

だってまだ会って数分と経っていないのにそこまで信用しろといっても逆に無理がある。


だけど、それでもボクはこの子を信じたい。


なんとなく、だけどね。



「・・・!承知いたし申した!!必ずや護ってみせる!!
ギギギアル、ギアチェンジ!!後すぐにギアソーサー!!シャンデラ!おにび!ドリュウズ、じしん!!」


なんだかノボリの手持ちのポケモンとかぶってるけどそれも気にしないでおこうかな。


この子と共同戦線を張った途端に敵を捌くスピードが跳ね上がった。二人いれば二倍、なんてレベルじゃない。

・・・この子、強すぎる。


この列車に乗ってた、てことは近いうちにバトルできたんだよね。この実力で負けるなんて考えられないし。


・・・本当にタイミングが悪いなぁ。



そういう意味で少し侵入者を恨みながら怒りをぶつけていった。




*****

「さてと・・・どうしてこんなこと、したの?」


結果は圧勝だった。
しかも、彼女のポケモンは完全に無傷。本当にすごいとしか言いようもない。

ボク達が戦っているうちにATOシステムも復旧したそうだし、ようやく事態が収束したようだった。


「く・・・そ!!何故だ!?何故勝てなかった!!」


悔しげに顔をゆがめる侵入者。
こいつらの正体はプラズマ団だった。


当然、ATOシステムをハッキングしたのも、こいつら。


「さあね。君達の力不足はもちろんだけど、他にもいろいろあるんじゃない?

・・・まぁ、とりあえず。罪は重いからそのつもりでね。」
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