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□或る日常
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世良目線ジノバキ。甘い。

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或る日常









ザシュッと小気味良い音と共に、ジーノが放ったボールはネットを揺らした。

「ナイス、王子!」

仲間達の声に軽く手を挙げて応える。
今は練習中のミニゲームのためギャラリーがいない点では張り合いがないが、ゴールを決めるのは気分がいい。



そこへ駆け寄ってきたのは可愛いペット。

「王子すごいっス!」

キラキラ輝く瞳に見つめられ、王子様のご機嫌もマックスに上昇する。
ピョコンと立った耳とフサフサ動く尻尾という幻覚さえ見えそうな椿は本当に犬のようだ。

「バッキーもナイスパスだったよ。えらいえらい。」

くしゃくしゃと髪を撫でると、椿は頬を赤らめて嬉しそうに笑った。

「っス!でもやっぱ王子のシュートはすごいっス!」

「ふふ、ありがとう。忠犬にご褒美。」

あまりに自然な動作で、椿の頬にキスが落とされた。

「・・・ちょっ!王子・・・!」

「ああ、ごめん。あんまりバッキーが可愛いから。」

動揺する忠犬と、余裕の飼い主である。



すでにゲームは再開しており、ほぼ全員がボールに集中していた。
しかし一人だけ、しっかり目撃してしまった被害者がいた。

「みっ、みっ、見てませんっっ!俺何も見てませんーっ!!」

ジーノと目が合って慌ててジタバタしているのは世良である。

「%◇■∈@※!!!!」

見られてしまった事に対して、椿は言葉にならない(というか文字化けしている)ほど、動揺して口をパクパクさせている。
しかしジーノは全く気に掛けず、さらりと笑った。

「セリー、きみもして欲しいのかい?」

「はっ!?いやいやいや、遠慮します・・・!!」

「でもゴメンね?バッキーは特別なんだ。」

「・・・・・・(全然人の話聞いてねぇぇ!)」

「さぁ、僕の猟犬!また『取ってこい』だよ!上手にできたら、ご褒美をあげるからね。」

「はっ・・・はい!」

(えぇぇー!行くのかよ!それでいいのか椿!)

声にならない世良のツッコミには気付かず、椿は全力で駆け出した。



「うんうん、今日もよく走ってるね。さすが僕のバッキー。」

瞬く間に小さくなってゆく背中を眺めながら、王子様はご満悦だ。



(はぁ・・・これからこの二人には出来るだけ近寄らねぇよーにしよう・・・。)

「オイ!世良ぁ!何ボケッとしてんだ!」

「うわっ!す、スンマセン!」

いつの間にか飛んできたパスを受けそこねた世良に、チームメイトから非難が集中する。



彼の受難の日々は続く。











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最初の被害者はセリーでしたww
他者目線ジノバキって大好きです。


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