風景-scenery-
□積乱雲カプリシオ
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文化祭当日。
朝からいつも以上にハイテンションなクラスメイト達に囲まれて早くも疲れが出てき始めた。
近藤さんも俺も総悟も一分たりともシフトの時間は被らなかったが、それはそれで好都合といえば好都合だ。
「んー、まあケガさせないように気をつけさえすれば他に言うことはありません。みんな楽しんでくることー。あー、あと酒は飲むなよー」
けだるげな忠告で解散した俺たちは三人で校内をうろつき始めた。
これといった目的地もなく、ただブラブラと足を動かす。
「なぁトシィ。俺さ、本当はお妙さんと周りたいんだけど無理かなぁ?」
「無理じゃね」
「即答…」
これといった会話もなくただブラブラと足を動かす。
やがて前方に大きな人だかりが見えてきた。
「なんだ?」
「…破亜限奪津って書いてありまさ」
「あ゛!!俺としたことが…お妙さんに昨日の夢でアイスを50コ頼まれてたんだった!」
「もうそんなに残ってねえだろ」
「っていうか近藤さん、次シフト入ってやせんでした?」
「げぇ!どうしようトシ!!」
「知らねえよ。諦めれば?どうせ夢なんだし」
「冷めた野郎ですねィ。これだから色男はキライなんでさァ」
「なんか言ったか?」
「別に。じゃあ俺はクッキー&クリームで」
「は?」
「じゃあトシ、俺はミックスベリーカスタードを!悪ィな」
「え?いや、ちょ…オイ!」
結局いつものパターンか…なんて小さな溜め息を漏らし列に並ぶ。
5人ほど前に3zの女子共が並んでいて、その中にお妙もちゃんといた。