舞台-theatrical-
□止まずの雨
2ページ/4ページ
傘を開いて通りへ出る。
焦ってなどいない。
あくまで散歩ついでだ。
そもそも家出の理由、それがわからなかった。
万事屋には居なかったがどこかに宛はあったのだろう。
ただひとつ心配なのは総悟の体長だ。
3日前、風邪をひいて高熱にうなされていたのを覚えている。
多分治ってないと思う。
いつもは通らない路地裏や一本道をブラブラと歩く。
もしかしたら、なんていちいち希望を持って角を曲がるが、結局は無人かホームレスの団地だった。
再び大通りに出て自然と屯所の方へ向く足を止めた。
向かいの路地に一瞬見えた人影。
十分だった。
それは俺に総悟を見分けさせるのに十分な一瞬だった。