舞台-theatrical-
□声を聞かせて
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「くそっ、どうなってやがらァ…」
階段の裏に隠れ息を整えながら考える。
廃墟となったこのビルに集められた俺たち。
「土方さん…本当にここであってるんですかィ?」
「ああ…俺も少し不信感はあるが上が言うんだから仕方ねェ」
「するってーと、土方さんもここには敵がいないと?」
「…そうだ。今のところ、な」
「今のところ…ねィ」
そういうことか。
俺たちの敵は、俺たち自身なんだ。
みんな狂ったように剣をふるい、次々と仲間を殺して次をあさる。
俺はまだ、人を斬っていない。
そうだ。俺はまだ、壊れていない。