風景-scenery-
□このこ ねこのこ このこね こねこ
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みるみるうちに赤くなる総悟の顔。
へたりと力無くたたまれる猫耳。
「え…猫耳?」
「だから見るなって言ったんでさァ…」
「え…本物?」
「本物でィ」
「…ジーザス」
「ホラもう帰った帰った。あっち行って下せェ」
「でもすげー可愛い」
「っ…かわいくねェ!!」
またしても強烈な猫パンチを喰らい(さっきのよりも痛かった)、俺はその場に倒れ込んだ。
「ったく…どーすんですかィ、コレ」
よく見ると尻尾までついている。
ユラユラと揺れるソレはまるで催眠術のようで、気が付いたら根元を掴んでいた。
「ふにゃっ…!!?何すんでッ、離しやがれ!!」
「急所?」
「知るか!!はな…はなし…!」
段々と涙目になる総悟。
「おーおー、可哀想になぁ。泣くこたねェよ」
「だったら…はなし…土方さぁ…ふぇ…ひっ」
本気で泣かれると後が面倒なので離してやった。
尻尾を前にまわし自分で抱えて俺を睨む。
髪と同じミルクティー色の耳がピクピクと痙攣していた。