風景-scenery-
□あけました おめでとう
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―…5、4、3、2、1ッ!!
「そう「土方…」」
「す、すいやせん。どうぞ」
「あ、いや、すまん。いいぞ先」
二人の間を沈黙が流れる。
遥か遠くの方で、新年を祝う隊士の声が響いていた。
「あ、じゃあ…土方さん、明けましておめでとうごぜェやす。今年もよろしく頼んまさァ」
「うん。総悟も、明けましておめでとう。今年もよろしく」
くしゃりと崩れたような笑顔。
今年はじめて見る土方さんの表情。
伸びてくる手が俺の頭を撫でた。
あったかい。
今年はじめて触れられた場所。
「あ、あ、そういえば。俺土方さんに年賀状書いたんですぜ。ハイ」
「おう。俺も書いたぞ。ん、コレな」
渡されたハガキには宛名と差出人しか書かれていない。
俺と同じ書き方だ。
裏にはやけに大きい「龍」という字と日の丸が描いてあった。
「なんだコレ。蛇?」
「えぇ?ナニ言ってんでィ、龍でさァ」
「いや、だってお前コレ…色々足りねェじゃねーか」
「ああ。足とかヒゲとかはありふれてるんで省きやした。でもよぉく見て。ホラ、角」
「ホラじゃねーよ。ホラーだよ。角はえた蛇なんて見たことねーよ」
「だから蛇じゃねえって言ってるでしょ。土方さんだってなんですかィ、コレ。シンプルすぎて全然おめでたさに欠けまさァ」
「シンプルイズザベストだろ」
「カッコつけちゃって」
「悪ィか」
「かなり」