舞台-theatrical-
□息が止まるほどに
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土方さん―
ああ、なんで
なんでそんなに赤いんだよ。
胸がぱっくりじゃねェか。
血ィ全然止まんねえじゃんか。
流れては広がる血の海が、土方さんの手を朱に染めた。
俺を見て苦しそうに笑う土方さん。
信じられない。
何も言えない、何も聞こえない。
土方さん、土方さん土方さん土方さん
土方さん土方さん土方さん土方さん―ッ
視界が霞む。
アンタ死ぬの?
俺を置いて?
待って、その目を閉じないで。
そんなに優しい顔をしないで。
左手の力を抜かないで。
土方さんの口が動く。
なんて言ったのか、わからない。