舞台-theatrical-

□冬の悪戯
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夜。

自室で書類の整理をしていると、指にサッと赤い線が出来た。
プクッと溢れ出る血。

乾燥。
俺の天敵。

少し手を湿らせようと部屋を出る。
洗面所で手を洗っていると、ちょうど歯を磨きに来た総悟と出会ってしまった。

「あれ、まだ隊服なんですかィ?」
「まぁな」
「なんで手ェ洗ってんの?」
「乾燥してたから」
「へェ〜」

グシュグシュと歯を磨きながら何かイジワルそうな目をする総悟。
口をゆすぐために水を入れたコップをこちらに向けて振った。

ぐっしょりと濡れる隊服。
とはいってもたかがコップの水なので色が濃くなる程度。
それが気に入らなかったのか、総悟は蛇口をひねり指を添えた。

俺の方に噴射される水流。

「んあっ、何すんだよテメェ…!」
「乾いてんでしょ?濡らさなきゃ」
「寒ィだろうがコノっ」

同じく蛇口を総悟に向けて水を掛け合う。
お互いビショビショだが、暫くは終わらないだろう。
終わったら風邪をひく前に面倒を見てやらなくてはと、心の中で呟いた。



END
『冬の悪戯』
(無邪気な君だから)(許してあげる)
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