舞台-theatrical-

□冬の悪戯
2ページ/3ページ

それを境に俺は一日中静電気に悩まされるようになった。

パトカーのドアノブを触ってもバチコン。
隊服の上着を脱ぐときもバチコン。
スプーンを持ってもバチコン。
刀を握ってもバチコン。

お陰でもうボロボロだ。


ふと視界の隅に入ってきたファミレスに総悟の姿があり、俺は少し不機嫌がちに中へ入る。

向かいの席に座ると、下をむいてジュースを飲んでいた総悟がチラリと目を上げた。
ブクブクと泡立つオレンジジュース。

「土方さん仕事は?」
「そらコッチの台詞だよ。ストローで遊ぶな馬鹿」
「遊んでやせん。二酸化炭素を入れたら炭酸になるかなー、みたいな」
「だから馬鹿だっつってんだよ」

立ち上がり頭をはたいて「帰るぞ」という。


バチンッ


またしても電流。
なんだ総悟にも触れないってか。

本人は気付かなかったのか、伝票を持って席を立った。

「…帯電魔」

気付いていた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ