舞台-theatrical-
□冬の悪戯
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それを境に俺は一日中静電気に悩まされるようになった。
パトカーのドアノブを触ってもバチコン。
隊服の上着を脱ぐときもバチコン。
スプーンを持ってもバチコン。
刀を握ってもバチコン。
お陰でもうボロボロだ。
ふと視界の隅に入ってきたファミレスに総悟の姿があり、俺は少し不機嫌がちに中へ入る。
向かいの席に座ると、下をむいてジュースを飲んでいた総悟がチラリと目を上げた。
ブクブクと泡立つオレンジジュース。
「土方さん仕事は?」
「そらコッチの台詞だよ。ストローで遊ぶな馬鹿」
「遊んでやせん。二酸化炭素を入れたら炭酸になるかなー、みたいな」
「だから馬鹿だっつってんだよ」
立ち上がり頭をはたいて「帰るぞ」という。
バチンッ
またしても電流。
なんだ総悟にも触れないってか。
本人は気付かなかったのか、伝票を持って席を立った。
「…帯電魔」
気付いていた。